ZEH(ゼッチ)とは

ZEH(ゼッチ)とは、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略語です。

家庭での年間、一次エネルギー消費量(給湯や照明、冷暖房、換気の使用で消費されるエネルギー量)をおおむねプラスマイナスゼロにすることを目指し、さらに太陽光発電などで必要な生活エネルギーを創りだす住宅のことをさします。

省エネと創エネZEH

日本政府は「2020年までにハウスメーカー等が新築する注文戸建住宅の半数以上で、2030年までに新築住戸の平均でZEHの実現を目指す」という政策目標を掲げ、各省庁が普及に向けて様々な取り組みが行われています。2018年からは集合住宅も補助金制度の支援対象となり、ZEHマンションの普及が進んでいます。

ZEHを満たす3つの要素

ZEHを満たす要素

冬は暖かくて夏は涼しい。省エネで光熱費も削減!ZEH住宅の3つの基準。

断熱性能 「断熱性能」とは、外の熱を室内に伝えず室内の熱を外に逃がさない性能のことです。断熱性が低いと冷暖房による多くのエネルギーが必要となり、光熱費の負担も増えます。断熱性能が高い断熱材の使用や、窓・サッシを断熱性の優れたものにすることで、エネルギー効率が高まります。
省エネ 「省エネ」では、HEMS(ヘムス)という消費エネルギーと創るエネルギーをモニターで確認するシステムが必要です。省電力稼働の冷暖房や換気システム、高効率の給湯、LED照明などに変え、無駄な電力を抑えます。
創エネ 「創エネ」では太陽光発電などのエネルギーを生み出す設備の導入が必要です。生活で消費するエネルギーよりも創り出すエネルギーが上回ることが求められています。

ZEH住宅の3つの基準

(画像出典:資源エネルギー庁HP)

集合住宅におけるZEH-Mの定義

集合住宅のZEH-M

当初、ZEHは注文住宅から普及しましたが、2018年度以降になるとZEH-M(ゼッチ・マンション)が注目され始め、マンションによるZEHの定義が明確になりました。

ZEH-Mは「省エネ率」などによって種別されており、「創エネ」を加えて100%以上の省エネ率を実現する「ZEH-M(ゼッチ・マンション)」、「創エネ」の導入を条件にしていない「ZEH-M Oriented(ゼッチ・マンション オリエンテッド)」など4タイプに分かれています。

集合住宅ZEH定義

(画像出典:環境省HP

ZEH-M 1~3階建のマンション。高い断熱性の「省エネ」に太陽光パネルなどでの「創エネ」をプラスして住棟全体で省エネ率が100%。
Nearly ZEH-M 1~3階建のマンション。住棟全体で再エネを含む省エネ率が正味75%以上100%未満。住棟全体で省エネのみの省エネ率20%。
ZEH-M Ready 4~5階建のマンション。住棟全体で再エネを含む省エネ率が50%以上75%未満。住棟全体で省エネのみの省エネ率20%。
ZEH-M Oriented 6階建以上のマンション。住棟全体で省エネのみの省エネ率20%。再エネの導入は必要ない。

ZEHのメリット

ZEHに住む、建てることのメリットは?

ヒートショックを防げる ZEHの特徴は、冬は暖かく夏は涼しい「断熱性」が高いことです。その特徴を生かし、室内の温度差を少なくし、冬に起こりやすいヒートショック(急激な温度変化で生じる、脳卒中などの健康被害)の予防対策につながります。また、ZEH住宅の断熱効果で一年を通し快適に過ごしやすくなります。
光熱費の削減 「創エネ・省エネ・断熱性能」といったZEHの特性を生かし、無駄な電力を抑えることで光熱費を抑えることができます。太陽光発電であまった電力を電力会社に売電し、収益を得れることもできます。

※売電とは・・・住宅に設置した太陽光発電により生み出した電力を、電力会社に買い取ってもらう仕組み。

非常時の電力を蓄えられる ZEH住宅に電力を蓄えておける蓄電池を設置しておけば、非常時や自然災害時に対応できます。蓄電池には自動的に電気を給電してくれる設定があるので、停電などの非常時に活用できます。

※蓄電池とは・・・太陽光発電で発電した電力を蓄えられる設備。

資産価値の向上に期待が持てる 平成28年4月に、建築物に対する省エネルギーの取り組みを評価する「建築物省エネルギー性能表示制度 BELS(ベルス)」が開始されました。BELSとは住宅の省エネルギー性能について評価や認定をし、5段階の星マークによって評価します。星マークが多いほど評価が高く、住宅の資産価値が上がります。建物の省エネ性能を一般にも分かりやすく表示し、環境性の高い建築物を普及させる制度です。
参考:一般社団法人 住宅性能評価・表示協会
光熱費の削減 「創エネ・省エネ・断熱性能」といったZEHの特性を生かし、無駄な電力を抑えることで光熱費を抑えることができます。太陽光発電であまった電力を電力会社に売電し、収益を得れることもできます。

ZEHのデメリット

ZEHのデメリットはどういうものでしょうか。

天候に効果が左右される

ZEHは太陽光発電を導入するため、悪天候が続き日照量が少なくなると発電効果が減少する可能性があります。また空中のチリやゴミなどが付着してしまうことが安定した電力を得られない原因となります。季節により日照時間や天候が変わるので、ZEH導入の検討時に住居環境も考慮に入れて考えることも大切です。

設備費用が高額になる可能性がある

ZEHの設備を住宅に取り入れるには、省エネ機器と太陽光発電などの設備投資に費用がかかります。また、長期的に活用していくためには定期的なメンテナスが必要です。設備費用とメンテナンス費用、かかる2つのコストに留意する必要があります。

対策:ZEHの補助金制度
ZEH住宅は、国土交通省・環境省・経済産業省の3省が連携する補助金制度があります。補助金制度によるZEH住宅の建設には様々な要件を満たしスケジュールに合わせる必要があります。
※参考:令和4年度 3省連携事業 「ZEH ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの推進に向けた取り組み」

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