足腰が弱くなり、フロの掃除もつらくなるばかり

自分の親が“要介護”になったとき、まず何をすればいいのでしょうか。
子世代の皆さんは、親の介護と住まいの問題に直面し、途方に暮れてしまう方々も少なくありません。
しばしば親と子の考え方がすれ違ってしまうという現実もあります。

前回のご相談者・娘のSさんは「仙台の父には、私の家の近くで暮らしてほしい」と願い、東京の高齢者向け賃貸住宅へ住み替えました。
ところが、今回のご相談者・娘のMさん(57歳、横浜市在住)のケースでは、介護の必要な母親が引き続き一人で自宅に住むという結論を出し、Sさんとは正反対の選択をされました。なぜでしょうか。

Mさんのお母さま 84歳女性のお話

Mさんのお母さま(87歳)は、埼玉県秩父市の戸建てで一人暮らし。足腰が弱くなり、おふろ掃除や庭の管理もつらくなる一方でした。

そこで、市役所に出向いて相談し、要介護認定を受けた結果、“要支援1”の判定。さっそく、介護保険を利用してヘルパーさんに週1~2回来ていただき、家事などのお手伝いをお願いしたのです。

このときお母さまが一番望んでいたのは、「住み慣れた秩父を離れたくない」ということでした。

一方、娘のMさんは前回のSさんと同じく家庭をもっています。

「母の介護度がもっと進んでしまい、何かあったとき、すぐに秩父まで駆けつけるのはとても大変です。できれば私の家の近くで暮らしてほしいと思います」

そこで、Mさんの住む横浜市への転居を考え、市内のさまざまな“高齢者向け賃貸住宅”を見学することになったのです。
<つづく>