(前回よりつづく)
第14話 故郷から突然の電話「お父さまが病院へ搬送されて‥」

思い切って、娘家族の近くの高齢者向け賃貸へ

今回のケガを機に“要介護1”の認定を受けたお父さま。また同じように仙台で一人暮らしを続けるのか、それとも東京のSさんの自宅近くに転居するのか。この二者択一で考え始めました。

Sさんは一人娘ですから、お父さまに何かあれば、すぐに自分が寄り添ってあげたいと思うのは子どもの心情として当然でしょう。

しかし、Sさんは東京でご主人や子どもたちと家庭を築き、毎日家事をこなす一方で、仕事にも就いています。

「仙台まですぐに駆けつけるのは難しいですね。父には私の家の近くで暮らしてほしいと思っています」

ところが、お父さまはまったく違う考えでした。

「40年近く住んでいる仙台には友人が多いし、思い入れもあるので離れたくないな。今の自宅をバリアフリーなどに改修すれば、まだまだ住み続けられるはずだ」

娘が選んだ父との暮らし方

それでも、お父さまとSさんが決めた住まいは、Sさんの自宅に近い東京・北区の高齢者向け賃貸住宅でした。

お父さまの不安をやわらげるため、3ヶ月間の“お試し入居”ができる物件を選定。東京での生活がなじめなければ、いつでも仙台に戻れるようにして、ハードルを下げたわけです。

高額な入居金が必要な利用権方式の高齢者施設と異なり、賃貸住宅の場合は気軽に入居も退去もできるところがメリットといえます。

現在お父さまはほぼ毎日、近くのSさんの家で一緒に夕食をとっているそうで、それが楽しみなご様子。
東京での生活にすっかり満足されているお父さまです。

【今回のご相談者が選んだ住まい】自立型の「サービス付き高齢者向け住宅」

次回のコラムは、今回とは対照的に自宅に住み続けたいというお母さま(87歳)の気持ちを尊重した娘さん(57歳)の思いをご紹介します。

<つづく>